前回の記事 コスモス畑 飯盛神社
前々回、吉武高木遺跡付近の画像(コスモス畑&飯盛神社)をアップしました。その後、新宮中央駅付近の画像をアップしました。今回は前々回の続き、吉武高木遺跡(やよいの風公園)の画像をアップします。
福岡市西区の早良平野に位置する吉武高木遺跡は、今から40年近く前の1981年(昭和56年)から1985年(昭和60年)にわたり、発掘調査が行われました。年代的には、弥生時代前期末から中期初頭にかけてとみられています。その後、1987年(昭和62年)、出土品は国重要文化財に指定されています。発掘された出土品は、福岡市博物館に収蔵されています。
また、出土品より、この地には「早良国(または早良王国)」があったともいわれていますが、魏志倭人伝などには早良国に関しての記述はされていません。そのため、まぼろしの王国ともいわれています。
発掘調査が終了したのち、1993年(平成5年)には国史跡に登録されました。2012年(平成24年)には早期整備工事が開始され、2017年(平成29年)に「やよいの風公園」としてオープンしました。名標のすぐ後方にあるシカのオブジェは、地元の有志の方々が制作したそうです。
当日は、家族連れの姿やグループホームの利用者・職員の姿がありました。小学生ぐらいの子供たちがバドミントンで遊んでいました。犬の散歩をする人もいて、さまざまな人が思い思いの時間をすごしていました。天気は、雲量は少しあったもの概ね良好でした。
解説板(公園の場外に設置)
場内のようす
名標 正面は飯盛山
名標の左側 シカのオブジェ
名標の右側 シカのオブジェ
飯盛山 公園の中央を貫く排水溝は環濠跡ではない
画像中央に見える石は「やよいの川」をイメージしたもの
【1】大型建物展望地
公園の南側の東端、市道の丁字路部分に、大型建物が建造されていた跡が発掘されています。弥生時代中期後半とみられています。公園内の盛土から(コンクリの壁に遺跡発見ヒストリーの名標とパネルが展示されている)大型建物が描かれたアクリル板を通して、丁字路あたりを見ることで、建物を想像します。
展望地の案内
南方向へ進む
遺跡発見ヒストリー
【2】特定集団墓「最古の王墓」
この付近(公園内外)では、弥生時代前期末~弥生時代後期初頭にかけての甕棺墓・木棺墓11基より青銅製の武器・鏡・腕飾り、ヒスイ製の玉(ぎょく)などが多数出土しました。これら出土品は福岡市博物館に収蔵されています。
遺跡自体は、公園外にも広範囲に広がっています。とりわけ重要な「特定集団墓」は、公園外の道路や隣接する農地にも広がっています。地権者より農地が買収できず、特定集団墓の半分が公園敷地からはみ出る格好になったと思われます。
左側に向かって進む
「最古の王墓」が眠る
正面の市道部分と後ろの農地部分まで特定集団墓が広がる
案内板
【3】やよいの川
弥生時代の河川を石で表しています。ゴツゴツして歩くのは困難です。昔は川が流れていたもの、長い時間のうちに川が干上がってしまったのかもしれません。
画像右奥 やよいの川
やよいの川
【4】むかしみつけ広場
むかしみつけ広場には、吉武高木遺跡の周辺を解説したボードが5基設置されています。吉武高木遺跡付近では、旧石器時代から江戸時代までの旧跡・古墳などが多数見つかっています。日本は旧跡だらけだともいわれていますが、とりわけ北部九州はそれらの数が多いように感じます。
むかしみつけ広場
「3 古墳時代」のボードは右から2番目
案内板
【5】甕棺ロード
「甕棺ロード」は、遺跡(公園)内のみならず、公園外までおよそ500メートルにわたって甕棺が埋葬されています。足元の楕円形(または長方形)の石は、発掘された甕棺を表しています。
また、甕棺が模された壁がありますが、それらは「トレンチウォール」という方法で地中に埋められた甕棺のようすを地上で表したものです。吉武高木遺跡の発掘調査はトレンチ方法(一定の幅の溝を試掘して遺跡内部の調査をする)で行なわれています。発掘された甕棺には番号(K-、M-)が振られています。
トレンチウォール 遠景
トレンチウォール左 K-051
トレンチウォール左 K-045
M-01 頭の向きは北東
トレンチウォール中 K-140
トレンチウォール右 K-151
K-151 裏側
K-180 頭の向きは南南西
K-162 頭の向きは南南西
K-123 頭の向きは西
甕棺が埋められた場所を示している
【6】まがたま館
まがたま館は屋根付きの休憩所です。壁に福岡市内外の遺跡を記したボードが設置されています。ここのベンチに腰掛けて水分補給です。
まがたま館 外観
史跡公園として整備されているとはいえ、発掘された甕棺墓の上を歩くのは、少し身が竦む思いがします。とはいえ、この季節は外遊びにも最適なので子供連れも多いようでした。犬を飼っている人には最適な散歩コースでしょう。
公式サイト 国史跡吉武高木遺跡 やよいの風公園